新人教育で新人のやる気を引き出すには?効果的な指示の出し方と成功事例を解説
- 錦一 織本
- 3月29日
- 読了時間: 8分
更新日:3月31日

新人教育は、組織全体の成長を左右する重要なテーマです。
しかし、新人が入社直後から主体的に動き、高いモチベーションを持てるとは限りません。
そこでカギとなるのが「指示の出し方」です。単なる命令ではなく、新人のやる気を引き出し、自発的な行動を促すコミュニケーションが必要です。
本記事では、心理学的な視点や実際の職場事例を交えながら、新人教育の現場ですぐに実践できる「やる気を引き出す指示の出し方」をわかりやすく解説します。
1. 新人教育が難しい理由:新人がやる気を失う背景
新人社員は、希望を持って入社してくる一方で、職場の環境や仕事の進め方に不安を感じやすい時期でもあります。彼らがやる気を失いやすい原因には、次のようなものがあります。
•指示が曖昧で、自分の役割が分からない
•「何のためにこの作業をしているのか」が理解できない
•フィードバックがなく、不安を感じる
•成果が認められないことで、達成感を得にくい
•自分の意見や考えが尊重されない
このような状況では、「頑張ろう」という気持ちが維持できず、指示に従うだけの“受け身な存在”になってしまいがちです。こうした傾向を変えるには、日常の声かけや仕事の指示の出し方を工夫することが不可欠です。
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2. 新人教育でやる気を引き出す7つの指示ポイント
新人に対してどのように指示を出すかは、育成の成果を大きく左右します。
ただ「やり方を伝える」のではなく、「やる気を引き出す」ための工夫が求められます。
ここでは、現場で実践できる7つの具体的な指示の出し方をご紹介します。
(1)目的を明確に伝える:仕事の「意味」を共有する
新人にとって、業務内容そのものが初めてであることが多く、ただ「やっておいて」と言われても納得感が得られにくいものです。やる気を引き出すには、その仕事の目的や背景を丁寧に伝えることが不可欠です。
例:
✖「この資料をまとめておいて」
⭕「この資料は来週の営業プレゼンで使うもの。あなたが作ることで、チーム全体の提案の質が上がるし、先方の信頼にもつながるよ」
仕事が誰かの役に立っていると実感できると、新人の自信とモチベーションは格段に上がります。
(2)具体的かつ明確な指示を出す:迷いをなくして前進させる
新人は業務経験が浅いため、抽象的な表現や曖昧な指示では、どう行動してよいか分からず立ち止まってしまいます。行動の方向性を示すには、「何を・どこまで・いつまでに・どんな形で」など、具体的に伝えることが重要です。
例:
✖「わかりやすい資料を作って」
⭕「3ページ以内で、1ページ目に要点をまとめて。A社のプレゼン資料を参考にして構成してみよう」
新人が不安を感じるのは、判断材料が足りないときです。情報を与え、思考の土台をつくることが指導者の役割です。
(3)選択肢を提示して主体性を促す:思考する機会を与える
指示を一方的に与えると、新人は「言われたからやる」だけの受け身状態になりがちです。選択肢を与えて判断を委ねることで、自分の意見を持つ習慣が育ち、主体的な行動が促されます。
例:
✖「この方法でやって」
⭕「A案とB案があるけど、どちらの方がやりやすそう?理由も聞かせてほしい」
「選んでもいい」と思えることで、責任感も芽生え、新人の成長を早めることができます。
(4)小さな成功体験を積ませる:自己効力感を高める
大きな目標を丸ごと渡されると、新人は「自分には無理かも」と感じてしまいます。段階的なステップに分けて取り組ませ、こまめに成果を認めることで、自信とやる気を育むことができます。
例:
✖「このプロジェクト全部任せるよ」
⭕「まずは1ページ作ってみよう。方向性を一緒に確認してから、次のステップに進もう」
「できた」という体験を積み重ねることが、新人にとって最大のモチベーションになります。
(5)プロセスを重視したフィードバック:安心感と成長機会の提供
成果だけを見るのではなく、取り組みのプロセスに対してもフィードバックを行うことが、新人の安心感につながります。「このやり方でいいのか」と確認できることで、試行錯誤への恐れが軽減されます。
例:
✖「できたら見せて」
⭕「今の進み具合はどう?途中でもいいから見せてくれたら、アドバイスできるよ」
新人にとって“途中報告しやすい雰囲気”があることは、成長の速度に大きく影響します。
(6)努力や成果を認める:モチベーションの根源を刺激する
新人は、仕事の正解が分からず、常に「これで合っているのか?」という不安を抱えています。そんな中で、努力した過程や結果に対して認められると、大きな安心感と達成感を得ることができ、次の行動につながります。
例:
✖「OK、じゃあ次も頼むね」
⭕「すごく丁寧に仕上げてくれたね。この部分の構成が特にわかりやすかったよ。ありがとう」
評価は、数値や結果だけではなく、“取り組み姿勢”にも注目することがポイントです。自分の努力が見てもらえていると感じた瞬間、新人はぐっと前向きになります。
(7)信頼関係を築く:日常のコミュニケーションがすべての基盤に
新人にとって、上司や先輩との距離感は非常に重要です。普段から気軽に話しかけられる雰囲気があるだけで、指示も受け入れやすくなります。日々の小さな声かけや感謝の言葉が、新人との信頼を築く第一歩になります。
例:
✖「言ったことをちゃんとやって」
⭕「いつも丁寧に取り組んでくれて助かってるよ。この仕事についてどう思った?」
仕事の話に限らず、ちょっとした雑談やランチの時間なども活用しながら、相手の人間性に関心を持ちましょう。「この人の役に立ちたい」と思ってもらえる関係が、新人のやる気を引き出す原動力になります。

これらの7つの指示ポイントを意識することで、新人のやる気を引き出し、自ら考え行動する力を育てることができます。
小さな積み重ねが、将来の戦力をつくる第一歩です。
3. 新人教育の成功事例:やる気を引き出す指導で成果を上げた実践例
ここでは、実際に新人育成で成果を上げた企業の事例を紹介します。
事例:自動車ディーラーサービス A社の場合|成功体験の積み重ねで自信が定着
A社では、新人研修後の現場配属において、最初から大きなタスクを任せる傾向があり、新人が不安を感じやすい状況でした。これを改善するため、タスクを段階的に小分けにし、こまめなフィードバックと成功体験を積ませる方式に変更しました。
具体的には、「まずは1時間でできる簡単な作業から」「1日1つずつ改善点を見つけて報告」など、無理のないステップで進行させました。その結果、新人の離脱やミスが激減し、「少しずつできることが増えてきた」と自己成長を実感する声が増えました。
4. 新人教育で避けるべきNG指示:やる気を失わせる落とし穴
やる気を引き出すどころか、新人の自信を奪い、無力感を与えてしまうような「NG指示」には注意が必要です。
よくあるNG例:
•「自分で考えてやってみて」→ 経験の浅い新人にはハードルが高く、不安を増長
•「何でできないの?」→ 否定的な言葉は自己効力感を低下させる
•「前にも言ったよね?」→ 繰り返しは必要な過程。責めるよりも寄り添いが大切
•「時間がないから急いで」→ 焦りはミスを誘発し、自信を失わせる
改善のポイントは、「共感」「具体性」「支援姿勢」の3つを意識することです。
5. 新人教育における指導者の心構えとは
上司や指導者が持つべきマインドセットとして重要なのは、「育成は時間がかかるプロセスである」という認識です。短期的な成果にこだわるのではなく、新人が徐々に自立し、活躍できるようになるまでの過程を大切にしましょう。
また、「見守る」「問いかける」「一緒に考える」といった姿勢が、新人にとっての安心感とやる気の土台になります。仕事の正解を与えるのではなく、正解にたどり着くための考え方や視点を共有することが、長期的な成長につながります。
6. まとめ:新人教育成功のカギは“指示の質”
新人のやる気を引き出すためには、ただ仕事を「指示する」のではなく、「育てる」視点が欠かせません。以下の7つのポイントを意識することで、新人が前向きに行動し、早期に戦力化することが可能になります。
1.目的を明確に伝える
2.具体的かつ明確な指示を出す
3.選択肢を与えて主体性を促す
4.小さな成功体験を積ませる
5.プロセスを重視したフィードバック
6.努力や成果を認める
7.信頼関係を築く
新人のやる気は、上司のちょっとした声かけや工夫で大きく変わります。彼らの視点に立ち、共に歩む姿勢こそが、真に効果的な育成の鍵です。
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